「私も今まで見た中で初めてのことなので、この人たちが本当に何を考えてこんなことやってるんだろうと思います」
数々の凶行事件を目にしてきた元・神奈川県警捜査一課長の鳴海達之氏ですら、驚きを隠せない、栃木強盗殺人事件。
指示役として逮捕されたのは20代の夫婦、そして実行犯はいずれも16歳の高校生4人という衝撃的な構図が、次々と明らかになっています。
現場は田園地帯に位置する住宅。
鳴海氏自身も現場を訪れており、「車も少ないし、歩く人も少ない。ただ、ここ(塀の前の道路)をちゃんと見ていれば、塀を乗り越えることはないと思う」と語りました。
地域では、以前から不審者情報が共有され、コミュニティが機能していたエリアでした。それでも犯行は起きました。
強盗殺人の疑いで逮捕されたのは、夫・竹前海斗容疑者(28)と妻・竹前美結容疑者(25)。
夫は羽田空港の国際線ターミナルで逮捕されました。海外逃亡を図っていたとみられています。
妻は神奈川県内のビジネスホテルで身柄を確保された際、生後7カ月の娘を連れていました。
鳴海氏は「海斗容疑者は暴力団との関係や半グレとの交流があって、そっちに逃げれば大丈夫と思ったのかもしれないが、美結容疑者はどうするんだということをまったく考えていない」と指摘します。
逮捕された少年の一部は「夫婦に頼まれてやった」と供述しています。警察は夫婦の背後に、さらに上位の指示役がいるとみて捜査を続けています。
鳴海氏はこの構図をこう分析します。
【元・神奈川県警 鳴海達之氏】「この夫婦は指示役というよりはリクルーター的なもので、1人の高校生にその仲間を呼んでもらって集めた。集めた先で何をやるかを考えたのはこの夫婦ではなく、もう1つ上の者がこの夫婦に圧をかけてやらせたのかなという感じがします」
実行役4人は全員16歳。うち3人は神奈川県相模原市在住の男子高校生で、過去に同じ学校に通っていた同学年の人物もいれば、知人という関係もありました。
もう1人は川崎市在住の男子高校生で、逃走に使われた白い高級外車に乗ることができず、ヒッチハイクで近くの駅に向かったことも判明しています。
こうした構図は、“トクリュウ”(匿名・流動型犯罪グループ)の特徴そのものです。首謀者、指示役、実行役という階層があり、実行役は誰が首謀者かさえ知らされません。
犯罪ごとにメンバーが入れ替わるため、全容解明が非常に困難とされます。
鳴海氏は「実行役はもう捨て駒です。捕まっても、指示したほうも首謀者も『もういいんだ』と。『とにかく金目のものを取ってこい』ということだけ」と断言しました。
さらに今回の夫婦についても、「首謀者が指示役を守る、例えば弁護士をつけるといったことはあるが、この2人にはつかないんじゃないか。つまりこの2人も捨て駒なんだなという感じがします」と語ります。