「近くで工事するから」と訪れた男、「お宅の屋根がはがれている」と屋根にあがり120万円の工事見積書手渡す…被害遭いかけた女性が点検商法の手口証言

住宅の点検を装って訪れた悪質業者らが不要な工事や商品の購入を迫る「点検商法」の摘発が全国で相次ぐ中、被害に遭いかけた島根県内の80歳代女性が読売新聞の取材に応じた。女性は言葉巧みに不安をあおる男らにだまされかけたが、県警の捜査をきっかけに被害を免れたという。「私が経験を語ることで新たな被害の防止に役立てば」と願う。(沢野有輝)▶隠岐の島で5350万円の詐欺被害、ビデオ通話で警察官のような格好の男が登場
昨年7月15日。女性方に作業着姿の男が訪れた。男は「近くで工事をするため、あいさつで訪れた」と話した。「丁寧な人だ」と思っていた矢先、帰り際に男からこう言われた。「お宅の屋根がはがれている」。屋外に出て屋根に目を凝らしたが、わからなかった。
男が「屋根を撮ってみましょうか」と提案し、女性は了承。2日後の17日、男は上司と名乗る別の男とともに再度訪問し、屋根に上った。「屋根の上で撮った」という写真を見ると、白い綿のようなものが見えた。「これはアスベストです。飛んで散っていきますよ」
男らは「見積書を作成する」と言って女性方を離れた。数十分後、戻ってきた男らから工事代金が120万円かかると説明を受け、見積書を手渡された。「すぐには決められない」と男らを帰し、どうするか考え始めたところでインターホンが鳴った。県警の捜査員だった。
「さっき男が屋根に上っていたでしょう。あれ、詐欺です」。捜査員は男らが触った家具から指紋を採取した。それ以降も連日のように警察官が来て事情を聞かれた。「だまされかけていたんだ」と実感が湧いた。
男2人はその後、「アスベストが出ている」とうそをついて、工事代金120万円を詐取しようとしたとして、詐欺未遂や特定商取引法違反(不実の告知)などの容疑で県警に逮捕、起訴され、地裁でそれぞれ執行猶予判決が言い渡された。それでも女性は「今でも当時のことが頭を巡り、不安で寝られない時もある」と言う。
警察庁の発表によると、2025年に全国の警察が摘発した点検商法による住宅の悪質リフォーム事件は83件で、統計が残る10年以降で最多となった。被害額も約151億6000万円と前年の約45億円から3倍近くに増えた。摘発された事件のうち34件は匿名・流動型犯罪グループ(トクリュウ)が関与したとみられるという。

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