「裸の写真をさらす」と脅し…カネに困った女性を餌食にする「ひととき融資」の実態

金に困った女性に対し、性交渉を条件に貸し付けを行う「ひととき融資」が問題となっている。その悪質な手口の一方で、事件が顕在化することは少ない。その理由とは何か。複数の事例をもとに、明らかにしていく。(東京情報大学教授 堂下 浩)

● 金に困った女性に性交渉を条件に貸し付け 「ひととき融資」の実態とは?

 物価高が続く中、生活が困窮した人は消費者金融にアクセスし、ここからの融資が拒絶されると、その一部は「ひととき融資」と呼ばれるヤミ金融と接触する。

 ひととき融資とは、ネット上の掲示板やSNSを使って生活困窮に陥った女性に対して性交渉を条件にお金を貸し付ける異形な個人間融資である。SNSの普及とともに、2010年代中頃からネット上で取引が確認されるようになった。

 ひととき融資では弁済手段として金銭と性交渉を併用するため、返済力の観点で借り手として男性の資金需要者よりも女性を吸収できる特性を持つ。いわゆる“パパ活”との線引きが難しく、警察もその摘発に苦慮する個人間融資の派生形である。

 ホストクラブや地下アイドルなどを「推す」ために高額な資金を費やして生活苦に陥った女性が利用しているケースも確かに存在するが、医療費や子供の教育費などをひととき融資に頼らざるを得なくなった人など、借り手側の事情はさまざまだ。

 融資は借り手である女性を心理的、法的な罠により「債務の檻」に閉じ込める――。その悪質な手口はマスコミなどで度々報道されながらも、その摘発はなかなか進まないでいた。
そんな中、2019年6月、大阪府警はひととき融資をヤミ金融としてはじめて摘発した。新聞報道によると、大阪府の30代の男性公務員が、遅くとも2016年頃からインターネットの掲示板上で資金繰りに困っている女性を見つけ、性行為を条件に融資を繰り返していた。また、同じ時期に女性から担保として下着の写真を要求するなど、個人間融資の分野で猥褻性の高い手口が広がっている実態も報道されるようになった。

 一方で、ひととき融資が大阪府警により摘発された後も、シングルマザーや専業主婦といった属性の女性が被害に遭ったという事件報道は後を絶えなかった。

 これら報道によると、ひととき融資の典型的なパターンとして、「業」とならない個人間融資の場合、出資法では年利109.5%の上限金利が適用されることから、貸し手である男は恋愛関係を建前とした上で借り手である女性に担保として裸の写真を要求し、併せて定期的な性的関係を求めるという手口が挙げられる。

 つまり、弱みを握られた女性から警察に被害相談する機会を奪うことで、ひととき融資の犯罪は他のヤミ金融に比べ被害の潜在化が進みやすい。その実態は卑劣な性犯罪と指摘される所以である。

 ここからは、ひととき融資事件のうち起訴された2つの事件を紹介しながら、その典型的な手口について解説する。

● 「女性に対する手助け」として 「ひととき融資」を正当化

 2021年に男Aが貸金業法違反(無登録営業)と出資法違反(高金利)により書類送検された。この男Aは掲示板やTwitter(現在のX)を通して大規模に個人間融資を行っていた。

 この事件は、男Aから金を借りていた女Bが、「男から性的な関係を求められているので嫌だ」と警察に被害を相談したことで発覚した。

 当初、相談を受けた警察署では個人間の問題であり、ヤミ金融事犯としての摘発が困難であると判断していたが、相談を受けた警察官が立証に必要な要件を女Bの協力下で整理できたことから、本格的な捜査が着手されることとなったという。

 当時、女Bは生活資金に困り融資を受けざるを得なくなったものの、正規の貸金業者からは融資を拒絶されたため、学生時代に掲示板を通して個人間融資として借り入れたことがある男Aを頼ることとした。前回の融資では高額な利息を要求されたものの、性的関係は求められなかった。

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