逮捕された直後の容疑者のもとに弁護士を派遣する「当番弁護士制度」に登録する兵庫県弁護士会所属の弁護士は昨年376人にとどまり、その8年前から約3割減った。多くはそのまま国選弁護人も引き受けているが、負担は重いのに、報酬は低いという。県弁護士会は「使命感のある弁護士の犠牲でかろうじて支えられている」と危機感を募らせている。(脊尾直哉)
当番弁護士は、逮捕されて勾留が決まる(最大72時間)までに容疑者や親族らからの要請を受け、弁護士会が弁護士を派遣する制度。24時間以内に留置施設に赴き、初回だけ無料で接見する。勾留決定以降は、公費で弁護人を選任できる「国選弁護制度」になる。
県弁護士会によると、制度に登録している弁護士は毎日、交代で待機。神戸地裁本庁管内では、7人前後の計23班が順番に対応しており、3週間に1回程度、刑事弁護を担うことになるという。
県弁護士会では、制度の登録者数は2017年には522人いたが、25年は376人に減少。登録者の割合(登録率)も57%から、36%にまで減った。一方で、所属する弁護士数は25年には1035人で、17年の912人より123人増えている。
県弁護士会は原則、当番弁護士として容疑者に接見した場合、そのまま国選弁護人に選任している。複数の弁護士によると、公判の判決まで早くても2~3か月かかり、報酬は1件当たり15万~20万円。資料の記録謄写費用や、刑事責任能力を調べる鑑定費用を負担することもある。
ほかにも、公判での証人尋問の打ち合わせ、証拠や記録の読み込み、被告の再犯防止のための支援者探しなど、業務は多岐にわたる。ペットの世話や友人への連絡など、業務以外の依頼もあるという。
こうした状況を受け、県弁護士会は2月、「今後担い手の確保が困難となるようなことがあれば、国選弁護制度そのものが揺らぎかねない」として、国選弁護制度の基本報酬の改善などを求める声明を発表した。
当番弁護士制度の運用に携わる県弁護士会の竹内彰弁護士(44)は「刑事弁護は人権擁護の中核だ」とした上で、「年1回程度であれば刑事弁護をできる弁護士を募る仕組みや、弁護士が対応可能な警察署ごとに名簿を作り、移動の負担を減らす工夫などを検討しなければならない」と話した。