2022年に完成した八代市庁舎建設工事を巡るあっせん収賄事件で、逮捕された八代市議の成松由紀夫容疑者(54)が、業者が自社に有利になるように作成した「評価基準案」を、工事の入札直前の19年6月、当時の副市長に副市長室で直接渡した疑いがあることが8日、捜査関係者への取材で分かった。この案を基に入札の評価基準が作られ、その後の1者応札や利益捻出につながったとみられる。
元副市長は熊本日日新聞の取材に応じていない。
捜査関係者によると、基準案は応札を検討していた準大手ゼネコン前田建設工業(東京)の九州支店社員が作成。自社に有利な加点項目と、競合他社を排除するための減点項目が盛り込まれていた。中でも減点項目の「過去1年以内に熊本県内で指名停止を受けている場合」は大幅な減点を科すもので、前田建設工業に著しく有利な設定だった。
市幹部からこの案を示され、不信感を抱いた市職員が熊本県に相談したところ、減点幅は縮小された。それでも前田建設工業に有利な状況のまま、入札が実施されたという。
また、九州支店の社員が入札直前、成松容疑者とともに逮捕された会社役員の男(61)が経営する会社を訪れ、利益率の低さを理由に入札辞退を申し出たところ、成松容疑者が「受注後に金額交渉に応じる」と約束した疑いがあることも分かった。
入札前に容疑者側が謝礼を要求し、前田建設工業側は取引先に相談するなどして現金を準備したとみられる。
市役所の本体工事は19年7月に制限付き一般競争入札で公告され、唯一応札した前田建設工業と市内2社のJVが税抜き118億円(落札率99・9%)で落札。その後、本体工事の増額や外構工事など2件の随意契約の発注があり、受注額は約130億円に膨らんだ。
成松容疑者、会社役員の男と、元市議の男(84)=いずれも八代市=は、工事を巡り市職員に不正な働きかけをした報酬として、前田建設工業側から6千万円を受け取った疑いで県警と警視庁の合同捜査本部に逮捕された。(地域報道本部取材班)