2022年に完成した八代市の庁舎建設工事を巡り、受注した業者に有利な評価基準を設定させるなど入札で便宜を図るよう市側に働きかけた見返りに、業者から現金6千万円を受け取ったとして、熊本県警と警視庁の合同捜査本部は7日、あっせん収賄の疑いで、八代市議成松由紀夫(54)、会社役員の男(61)、元市議の男(84)の3容疑者=いずれも八代市=を逮捕した。
県警によると、成松容疑者ら3人は共謀して16~19年ごろ、本体工事を受注した共同企業体(JV)幹事社の準大手ゼネコン前田建設工業(東京)の九州支店からの請託を承諾。市職員に働きかけてJVに有利な評価基準にしたことや、落札後に利益捻出を図った報酬として、支店側から21年6月上旬ごろ、八代市内の元市議の男宅で6千万円を受け取った疑いがある。
県警は3人の認否を明らかにしていない。贈賄側は既に公訴時効(3年)が成立したという。
25年10月ごろ、県警に刑事告発があり、前田建設工業本社による社内調査で不正の疑いが発覚。同社は今年1月、警視庁へ情報提供と捜査協力を申し出た。2月に捜査本部が立ち上がり、警視庁の捜査員数十人が熊本入りした。
県警によると、会社役員の男が16年ごろ、「成松という有力議員がいる」と九州支店側に紹介。成松容疑者は支店側から自社に有利な加点項目や、他社に不利な減点項目を盛り込んで作成した「評価基準案」を受け取り、市幹部に対し、これに基づいて入札を実施するよう求めたという。
また、JVが実施するべき工事の一部を他の業者に発注し、JVへの請負代金額は据え置く手法で約11億円の利益を捻出させるよう市側に働きかけたとされる。容疑者側はその後、支店側に「謝礼金6千万円を持ってくるように」と指示し、支店社員2人が現金を持参したとみられている。
本体工事は19年7月に制限付き一般競争入札で公告され、唯一応札した前田建設工業と地元2社のJVが税抜き約118億円(落札率99・9%)で落札した。その後、本体工事の増額や外構工事の随意契約の発注があり、受注額は約130億円に膨らんだ。
捜査本部は7日、成松容疑者らの自宅や市議会など関係先を捜索。今後、市幹部らに聴取するなど捜査を進める。
「捜査に全面協力」と前田建設工業の親会社
前田建設工業の親会社のインフロニア・ホールディングス(東京)は7日、「本件に関する事実関係の解明に向け、引き続き捜査機関による捜査に全面的に協力していく。捜査への影響に鑑み、現時点でのコメントは差し控えるが、今後公表すべき事項が判明次第、速やかに報告させていただく」と発表した。