自分の死を願う・・・強い「希死念慮」を抱えながら生活する30代の男性は、これまで周りの友人などに何度も苦しさを打ち明けてきました。【生活困窮者からのSOS】「まさか自分が…」コロナ禍に仕事も家族も失った男性 支援するNPOの活動に密着しかし返ってきたのは、「おまえの性格やん」という言葉でした。
精神状態が不安定になる中、心療内科に電話で助けを求めましたが、電話口で告げられたのは『1ヵ月以上、予約の空きはない』という現実。その日のうちに十数カ所の医療機関に連絡を試みましたが、男性の話を聞いてくれる場所は見つかりませんでした。
命の危機を感じている人であっても、医療につながることができない現状が、今の日本社会にはあります。
医療・福祉などの制度が整えられていても、それらを利用するには予約や手続きといった行動が必要で、その行動を起こす気力を失った人たちから順に、“制度の外”へこぼれ落ちていきます。
大阪府内で、生活困窮者などの支援を行うNPO法人「生活支援機構ALL」。代表の坂本慎治さん(38)のもとには、助けを求める連絡が日々届きます。
24歳のAさんは、住民票の閲覧制限を求めてALLを訪れました。Aさんは親と暮らしていましたが、働いて得た収入を親に奪われ、ギャンブルや違法薬物に全て使われたといいます。
(Aさん)
「親から、顔以外のばれない場所を殴られたり蹴られたりしていました。食べ物を与えられない日もありました。警察に、親が違法薬物をやっていると何度か相談をしましたが、『確実にある状態じゃないと踏み込めない』と断られ、自分の力では結局何もできなかった」
Aさんにとって家族は、セーフティーネットとしての機能はなく、安全な場所ではありませんでした。
若者が孤立し困窮する過程は、決して“自己責任”と言いきれません。相談に訪れる若者には困っていること自体を【恥】と感じ、誰にも相談できないまま困窮していく若者は少なくありません。
「生活支援機構ALL」の支援では、まず住まいを確保します。
現在1000人以上が住居の提供を受けて生活していて、住まいを得ることで多くの人は一時的に安定を取り戻しますが、孤立する要因の根本を解消することはできません。
支援の現場では、家賃を滞納したまま姿を消す人など、社会とのつながりを維持し続けることができない人も存在します。
今の居住支援の形は「住む場所」を提供して終わる場合も多く、支援後、社会とのつながりや人との関係性までは支えていくことができていないのが現状です。