『プラダを着た悪魔』エミリーのモデルは私? 元『VOGUE』エディターが追った“噂の真相”

『プラダを着た悪魔』のエミリーのモデルは自分なのか──。イギリス出身の元US版『VOGUE』エディターであるプラム・サイクスは、TikTokの動画をきっかけに広まった噂が気になり始めた。真偽を確かめるべく独自の調査に乗り出したが、その結果は?【写真】『プラダを着た悪魔2』のキャストが着こなす、モードなプレスツアールック
オスカー・ワイルドの喜劇さながら、人違い騒動の真っただ中に巻き込まれることなど、現代ではめったにない。ところが私はいま、まさにその渦中にいる。厄介な事態だ。TikTokで何百万人ものユーザーが、あるTikTokのバズ動画と1冊の小説、そして1本の映画を勝手に結びつけ、ファッションを舞台にした作品の中でもとりわけ鼻持ちならないキャラクター──『プラダを着た悪魔』に登場する、ミランダ・プリーストリーのイギリス人アシスタント、エミリー──のモデルがこの私だと決めつけているのだ。

こうして言われることにも、これまで黙って耐えてきた。『VOGUE』の勇敢な女性たちは、声を上げるよう促してくれたにもかかわらず、ここで反論すれば、TikTokで好き勝手にいじってくる子どもたちに、さらに目をつけられるだけではないかと思ったのだ。だが数週間前、ロンドンの映画館で起きたある出来事をきっかけに、もう黙ってはいられないと感じた。

そのとき、私はロンドン中心部、ベイズウォーターにあるエブリマン・シネマの赤いベルベットのソファに腰を落ち着け、15歳の娘テスとその友人アーニーとともに『嵐が丘』を観ようとしていた。彼女たちは早めに映画館に行って予告編をすべて観たいと言うので、私はその間ひと眠りすることにした。ところが、スクリーンに次々と映像が流れるなか、テスが突然飛び上がり、「ママ! これママだ!」と叫んだのだ。

顔を上げると、スクリーンには全身ディオール(DIOR)を纏ったエミリー・ブラントが映っていた。彼女は『プラダを着た悪魔2』の予告編でエミリーを演じており、「幻覚を見ているのかしら?」と、目を細めながらアン・ハサウェイ演じるアンディに向かって嫌味っぽく言う。その待望の続編で、ふたりは再び顔を合わせるのだ。

「バカなこと言わないで、あれは私じゃない」と即座に否定した。

「いや、絶対そうだよ」とテスは言い張る。「学校のみんなもママだって知ってる」

「そうなの? でもエミリーってすごく意地悪でしょう。私は違う」

私の言葉など意に介さず、テスは続ける。「ママ、本当にそうなの。検索したもん」

「認めなよ」とアーニーも口を挟む。「エミリーってむしろ自慢できるよ」

その後の夕食は散々なものだった。テスとアーニーは、私がエミリーである“証拠”と称するGoogleの情報を延々と並べ立ててきた。ここで潔白を証明するには、徹底的な調査が必要だ。幸い、2000年代の私はパーティー帰りの夜によく『CSI:ニューヨーク』を観ていたので、捜査の始め方を心得ている。現場を押さえ、目撃者を見つけ、関係者に聞き込みをし、容疑者を逮捕し、自分に有利な陪審員を集めるのだ。

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