タイで有罪判決を受けて収容された後、国内の刑務所に移送された元受刑者の男性(64)(大阪府東大阪市)が、タイ王室による恩赦で刑期が短縮されたのに1年以上長く収容されたのは違法だとして、国に計550万円の賠償を求めた訴訟の判決が27日、大阪地裁であった。大野祐輔裁判長は、国には海外での恩赦について確認する義務はないとの判断を示した上で、国が釈放の必要性を認識してからの25日間の身体拘束は違法と認め、国に44万円の支払いを命じた。
判決によると、男性は1999年、タイでヘロインの営利目的所持容疑で逮捕され、現地の裁判所で禁錮50年を言い渡された。国際受刑者移送制度に基づいて日本に移送され、2019年1月、甲府刑務所(山梨県)に収容された。刑期は恩赦で20年4月までに短縮されたが、男性が釈放されたのは21年4月だった。
国はタイ当局から恩赦の通知を受けておらず、大野裁判長は判決で、「受け入れ側の国に(刑期の短縮を)調査・確認する義務はない」と判断した。その上で、国が釈放の必要性を認識してからも続いた身体拘束について、「速やかに釈放の手続きを進めるべきで、正当な理由は見いだせない」と結論づけた。