〈池袋ポケセン刺殺〉ストーカーの「暴走スイッチ」はいつ入るのか 「警戒すべきメールの文面」を専門家が警告

3月26日、池袋の商業施設「サンシャインシティ」で起きた凄惨な殺人事件――。同施設内のショップ「ポケモンセンターメガトウキョー」で、21歳のアルバイト店員女性が刺殺された。襲ったとされる26歳の男も自ら首を刺し死亡したが、この男は女性の元交際相手で、女性に対するストーカー規制法違反容疑などで逮捕されていたのだ。【写真を見る】「背中に“血痕”」動画も出回り… ストーカーの男が元恋人の首を刺した「事件現場」
男は今年の1月にいずれの罪でも略式起訴されたが、罰金を納めて釈放された。毎日新聞の報道によると、警視庁は男に禁止命令を出し、併せて加害者に対するカウンセリングや治療を受けるように働きかけたが、拒否されていたという。

 被害者が警察に相談し、逮捕・起訴もされていたが、強行は防げなかった。ストーカーによる犯罪、迷惑行為に被害者側はどう対応すればいいのか……。

 長年、この問題に取り組んでいたカウンセラーの故・小早川明子氏(NPOヒューマニティ)は、著書『「ストーカー」は何を考えているか』執筆時点で1500件を超えるストーカー案件と関わっていた。その中で、ストーカー問題の真の解決のためには加害者との対話も必要だと実感し、500人を超えるストーカーたちと会ってその心理を分析していたという。

 ストーカーの危険度を判断するには「行動レベル」「心理レベル」、二つのレベルでの判断が求められる、と小早川氏は述べている。

 同書をもとに、行動レベルでの判断について、警戒すべき「メールの文面」を見てみよう。(以下、同書をもとに再構成しました。数字は同書刊行時点のものです)
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 ストーキング行為によって起きている被害や危険がどの程度か、客観的に見るための方法があります(下の図を参照)。
ピラミッド型の三角形を3分割した下の部分が(1)マナー違反レベル、中間が(2)不法行為(民事訴訟相当)レベル、上の三角形は(3)刑事事件レベル。まず被害がどのレベルにあるか、起きた事実をもとに被害者と一緒に確認していきます。

 例えば、いくら拒否しても「愛している」「付き合いたい」「離れたくない」など追いすがるようなメールが送られてくる、贈り物や花束が届けられるというのは(1)。

 メールの文言が「死ぬ」「誠意を見せろ」など相手に恐怖を与えるものになり、会社で待ち伏せされるような事態は経済的・精神的実損を伴うので(2)の段階です。「訴える」と言われたらさっさと訴訟レベルで応じればよいし、もし不法行為がストーカー規制法に抵触するものなら行政処分である警告を発令してもらいます。

 その警告が効かない場合はすでに(3)のレベルで、告訴すれば逮捕も可能です。傷害や強姦、名誉毀損などがあれば、規制法とは別の刑事の罪状で処罰を願い出ることができます。

 ある相談者(50代女性)は趣味の旅行サークルで知り合った年下の男性から交際を申し込まれ婉曲に断ったのですが、しつこく旅行に誘われた。これは(1)の段階です。

 女性は「一人旅が好きだから」と再度断ったものの、あるとき長距離列車に乗る話をしたところ、その日、男性が後ろの座席に座っていた。尾行による待ち伏せで、事態が(2)の段階に進んだことになります。

 彼女は体を硬くして無視していましたが、男性は隣の席に移動してきて手を握った。「近寄らないで」と必死で拒むと、「宣戦布告ですか」と言う。無理に体に触れるのは暴行罪に相当するし、精神的恐怖を与える言葉を使っている。いよいよ(3)の段階です。

 この女性が警察で相談しても、背筋が寒くなるようなその恐怖に反応してくれる意識の高い警察官ばかりとはかぎりません。暴行罪どころか、「手を握られたぐらいで大げさな。だって知り合いなんでしょう」で片付けられてしまいかねないのが実情です。

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