有罪判決19回、20年以上刑務所…耳聞こえず話せない60代男性 「こぼれ落ちた」累犯障害者の支援を考える

知的障害者が事件の容疑者や被告、受刑者になった際の支援について考える研修会が2月、福岡市内であった。生活困窮や孤立など生きづらさを抱えているのに十分な福祉支援を受けられず、犯罪を繰り返してしまう「累犯障害者」と呼ばれる人たちがいる。地域の中で自分らしく暮らせるよう、司法と福祉がしっかりつながる大切さが議論された。(酒匂純子)■重要性が注目されている「入り口支援」のイメージ知的障害などの当事者や保護者でつくる社会福祉法人「福岡市手をつなぐ育成会」が主催した。長崎県雲仙市の更生保護施設「雲仙・虹」施設長の森田和富さん、福岡市の弁護士である岩城渉さんと山西信裕さんが登壇した。
法務省の矯正統計によると、2024年に新たに刑務所に入所した1万4822人のうち、知的障害者は333人。ただ知能指数(IQ)の検査では、知的障害の可能性があるIQ69以下が2954人、テスト不能とされた人が355人に上る。福祉サービスを受けられるはずなのに、支援につながっていない人が多くいるとみられる。

 森田さんも実感する。「福祉の支援が受けられないが故に軽微な犯罪を繰り返す、負の連鎖が起きている。刑務所が最後のセーフティーネット(安全網)になっている」
更生保護施設は罪を犯した人らを半年ほど保護し、社会復帰を助ける施設だ。「虹」は定員20人。障害者や高齢者を積極的に受け入れている。

 運営する社会福祉法人「南高愛隣会」は、罪に問われた障害者や高齢者への福祉支援に、先駆的に取り組んできた。さまざまな福祉サービス事業所を展開しつつ、服役中から社会復帰を見据えて支える「地域生活定着支援センター」の運営を長崎県から受託し、長崎刑務所とも連携を深めてきた。
「虹」に保護された人は、就労体験やコミュニケーション技術の訓練、犯罪防止の学習を重ねる。知的障害の療育手帳申請など、福祉サービスを受ける準備も進める。森田さんは「本人を変えることは難しい。再犯しない環境をつくるのが重要」と語る。目指すのは「司法から福祉にバトンをつなぐソフトランディング(緩やかな移行)」だ。

 その人の良い点を見つけて表彰状や感謝状を渡し、退所後も希望者には訪問して寄り添う。「再犯しそうな時に、職員の顔や言葉を思い出して踏みとどまってくれるような関係を築きたい」と力を込める。

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