不動産を複数人で相続することになったものの、共有名義での相続登記の進め方が分からず、困っている方も多いのではないでしょうか。結論からいうと、共有名義で相続登記する場合でも、基本的な流れは単独名義の場合と大きく変わりません。
共有名義の相続登記の流れや費用、必要書類などについて解説していきます。ただし、共有名義での相続登記では相続人全員の合意や協力が不可欠であるため、単独名義の相続登記と比較して書類収集や相続手続きが煩雑になりがちです。不安な場合は、弁護士や司法書士などの専門家に依頼することでスムーズに進めやすくなるでしょう。
相続登記をスムーズに進めるために事前に把握しておきたい、大まかな流れや必要書類について、不動産会社経営者が解説します。
共有名義の相続登記とは、被相続人(亡くなった人)が所有していた不動産を、複数の相続人による共有名義に変更する手続きです。
不動産の正式な所有者は、法務局の登記簿に記載されている名義人になりますが、これは相続が発生しただけでは自動的に変更されません。相続が発生した後、相続人が法務局で相続登記を申請して初めて、正式な所有者として認められます。
たとえば、父が所有していた実家を母、長男、次男の3人が相続する場合、それぞれの相続割合は以下のようになります。
・母:2分の1
・長男:4分の1
・次男:4分の1
法務局で相続登記を申請すれば、母、長男、次男の3人は相続割合に応じて正式な所有者として記載され、第三者に対してその所有権を法的に主張できるようになります。
共有名義の相続登記には、「持分全部移転登記」と「持分一部移転登記」の2つがあります。どちらの申請を行うのかは、被相続人の不動産の所有状況が単独名義だったのか、共有名義だったのかによって変わります。
・持分全部移転登記:単独名義の不動産を複数人で相続する場合
・持分一部移転登記:共有持分を複数人で相続する場合
不動産の所有状況が不明な場合は、法務局で登記事項証明書(登記簿謄本)を取得し、「権利部(甲区)」を確認してください。
2-1. 持分全部移転登記|単独名義の不動産を複数人で相続する場合
持分全部移転登記とは、被相続人が所有していた不動産全体を、複数の相続人へ持分として分けて移転する相続登記のことです。
たとえば、父が所有していた実家を、母と長男が共同で相続するケースが該当します。登記申請書の「登記の目的」の欄には、「持分全部移転」と記載します。
2-2. 持分一部移転登記|共有持分を複数人で相続する場合
被相続人が他の人と不動産を共有しており、被相続人の共有持分を複数人で相続する場合は、持分一部移転登記を申請します。
たとえば、母と実家を共有していた父が死亡し、その父の共有持分を母・長男が共同で相続するケースが該当します。登記申請書の「登記の目的」の欄には、「持分一部移転」と記載します。