鮮やかすぎる様式美…『相棒』シリーズの積み重ねが生きた神展開とは?「season24」第16話考察レビュー

毎週水曜夜9時より放送中のドラマ『相棒 season24』(テレビ朝日系)。国民的人気を誇るご長寿刑事ドラマの“黄金コンビ”が1年ぶりに帰ってきた! 杉下右京(水谷豊)×亀山薫(寺脇康文)が、共に事件を追う。さっそく、第16話の内容を振り返っていこう。(文・Naoki)【写真】杉下右京×亀山薫コンビが最強…貴重な劇中カットはこちら。『相棒 season24』第16話劇中カット一覧
杉下右京「きっと佐藤さんは…自分にしか分からない世界の中で、一生懸命生きていたんです」

『相棒season24』第16話「町一番の嫌われ者」は、やるせなさと虚しさを真正面から突きつけてくる一編だった。

 脚本は、第9話「カフカの手紙」を手がけた瀧本智行。彼の特徴は、事件そのものよりも“ある一人の人物”に徹底的に焦点を当てる点にある。養護施設の少年や子どもを誘拐された母親など、特定の事件関係者をすくい上げる作風だ。

 今回はサブタイトル通り、“町一番の嫌われ者”佐藤淳子(横山めぐみ)という女性を深掘りしていく。

 監督は前回に続き濱龍也。刑事ドラマを知り尽くしたベテランらしく、群像と個のバランスを丁寧に描き出していた。

 物語は、無職の女性・佐藤淳子が殺害されるところから始まる。

 捜査に乗り出した特命係は、淳子がいわゆる“ゴミ屋敷”に住み、外では子どもを含む近隣住民に喧嘩腰で絡むなど、役所が介入するほどの“町一番の嫌われ者”だったことを知る。

 そんな中、右京はゴミ屋敷の中から、淳子が山川(林田航平)という男性とテニスコートで笑顔を見せる写真を発見する。そこには、今とは別人のような淳子の姿があった。
本作の見どころは大きく2つ。

 1つ目は、捜査一課の成長だ。

 かつて淳子と揉め、「次会ったら殺してやるからな!」と暴言を吐いた小杉武夫が被疑者として浮上する。捜査一課が任意同行を求めると、小杉は逃走。しかし、出雲(篠原ゆき子)→芹沢(山中崇史)→伊丹(川原和久)の流れるような連携プレーで逮捕。

 この一連の動きが実に美しい。

 出雲はS19でレギュラー入りした当初、格闘戦が得意とは言えず、大捕物では芹沢に助けられる場面も多かった。それから5年。

 今回は相手の攻撃を冷静にいなし、掴みかかられた瞬間に投げ飛ばしてみせる。今期では「人一人死んでるんですよ!」と伊丹顔負けの叱責を放つなど、捜査一課魂が確実に根付いている。

 芹沢の投げ技も見事で、立ち上がりを困難にする一撃。そして、その隙を逃さず手錠をかける伊丹が「しんどい…」と漏らす姿は、ベテランの風格を感じさせて実に格好良い。

 かつては三浦(大谷亮介)が最強の武闘派で、芹沢はやられ役、伊丹は怖気づくことも多かった。だが今は違う。全員の成長が、このワンシーンに凝縮されていた。

 もっとも、小杉は違法薬物の売人だったため逃走しただけで、殺人犯ではなかった。頑張って捕まえた相手が真犯人ではない――この“様式美”もまた、『相棒』らしさである。

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