元サッカー日本代表FW森本貴幸が退団した後、カルチョ・カターニャは黄金期が去り、セリエAから遠ざかった。さらには、大スキャンダルに破産宣告という大きな波にのまれ、クラブは消滅した。しかし、ファンが絶望する中、ある一人の救世主が現れる。そうして新たにカターニャFCとして再出発したクラブは、いまセリエB昇格に近づいている。(文:佐藤徳和)
かつてサッカー日本代表FW森本貴幸が名を馳せたカターニャFCが、復調の兆しを見せている。
セリエC・グループCの第24節を終えて、勝ち点51。直近9戦で7勝2引き分けと好調を維持し、1試合消化の多い首位ベネヴェント・カルチョと勝ち点6差の2位に位置する。14/15シーズン以来となるセリエB復帰に向けて、着実な歩みを見せているのだ。
06/07シーズンに、83/84シーズン以来のセリエA復帰を果たしたカルチョ・カターニャは、極東からやってきた森本の加入と合わせて、クラブの黄金期となる一時代を築き、多くの日本ファンの注目の的となった。
しかし、森本が2011年夏にシチリアのカターニャの地を離れ、北部のノヴァーラに活躍の場を求めると、カルチョ・カターニャは次第に競争力を失い、13/14シーズンのセリエAで18位に終わって、セリエBに降格した。
続く、14/15シーズンもチームは黒星が先行し、完全に歯車が狂う。3度の指揮官解任という混乱を招いた。
それでも、数字の上では、勝ち点49でセリエCへの降格を回避したかのように見えた。ところが、2015年6月23日、クラブに激震が走る。
シーズン終了直後のセリエBで、セリエC降格を免れるために複数の試合を八百長・買収していたとして、スキャンダルが表面化した。
発端となったのは反マフィア捜査局が指揮した、「ダーティー・サッカー」と呼ばれる一連の捜査だった。セリエB、レーガ・プロ(現セリエC)、セリエD、エッチェッレンツァ(5部リーグ)に所属する各クラブが、自らが関与する試合の結果を操作した疑いが持たれ、50人が逮捕された。
「ダーティー・サッカー」の捜査の過程で、イタリア・サッカー界全体の不透明な金銭の動きや人間関係が浮き彫りになり、そして、カルチョ・カターニャの不正までもが明るみに出たのだ。
「ゴールの列車」と命名されたオペレーションでは、カルチョ・カターニャの関係者が逮捕され、その後に自宅軟禁となった。逮捕者は、2004年から会長を務めたアントニーノ・プルヴィレンティ、パブロ・コセンティーノ副会長、ダニエレ・デッリ・カッリ・スポーツディレクターら7名であった。
捜査対象となった試合は、第34節のヴァレーゼFC対カルチョ・カターニャ(0-3)、第35節のカルチョ・カターニャ対トラーパニ・カルチョ(4-1)、第36節のUSラティーナ対カルチョ・カターニャ(1-2)、第37節のカルチョ・カターニャ対テルナーナ・カルチョ(2-0)、第39節のカルチョ・カターニャ対ASリヴォルノ(1-1)の5試合。これらの試合で、降格を避けるための金銭の支払いと引き換えに違法操作されたとされる。
小売り業の成功で財を成し、格安航空会社を営んでいたプルヴィレンティ会長は、刑事裁判で1試合あたり1万ユーロ(約180万円)を支払って買収したことを全面的に認めた。
こうして、イタリア・サッカー連盟(FIGC)の裁判所は最終的に、プルヴィレンティ会長に5年間のスポーツ活動禁止処分と30万ユーロ(約5400万円)の罰金を命じ、カルチョ・カターニャには、レーガ・プロへの強制降格、及び15/16シーズンにおける勝ち点10の剥奪処分を下した。