『クスノキの番人』高橋文哉×天海祐希、東野圭吾原作の“祈り”の物語

Tokyo cinema cloud X by 八雲ふみね【第1293回】

シネマアナリストの八雲ふみねが、いま、観るべき映画・ドラマを発信する「Tokyo cinema cloud X(トーキョー シネマ クラウド エックス)」。【写真13枚】『クスノキの番人』高橋文哉×天海祐希、東野圭吾原作の“祈り”の物語今回は、映画館にて上映中の『クスノキの番人』と『MERCY/マーシー AI裁判』をご紹介します。
2020年に発表され、累計発行部数100万部を突破。大きな反響を呼んだ小説「クスノキの番人」。日本を代表する人気作家・東野圭吾の作品は度々映像化されていますが、劇場アニメーションとなるのは本作が初となります。

「その木に祈れば願いが叶う」という言い伝えがある不思議な“クスノキ”と“番人”となった青年の物語が、スクリーンに鮮やかに映し出されます。
理不尽な解雇によって失職してしまった青年、直井玲斗。最悪の状況に追い詰められた末、過ちを犯して逮捕されてしまう。

そんな彼に、運命を変えるような出会いが訪れる。月郷神社に佇む“クスノキの番人”になれば、釈放されると言うのだ。

それは、玲斗の亡き母の腹違いの姉・柳澤千舟からの依頼だった。

番人としての生活を始めた玲斗は、さまざまな事情で神社を訪れる人々と出会うことに。そしてその出会いが、彼の人生を動かしていく……。
主人公・直井玲斗を演じたのは、数々の出演作で着実に表現の幅を広げてきた高橋文哉。玲斗が抱える痛みや葛藤を繊細に表現し、その熱量の高い演技は必見です。

そして柳澤千舟役は、実写作品だけでなく、アニメーション作品にも精力的に参加している天海祐希。凛とした威厳が漂う演技で、大企業・柳澤グループの発展に尽力してきたという人物を体現しています。

共演には齋藤飛鳥、宮世琉弥、大沢たかおといった実力派キャストが集結。物語を彩る重要な役を熱演しています。
原作者である東野氏は本作について、映像化するならば実写ではなく、アニメーションの方が良いのではと感じていたとのこと。その言葉どおり、伊藤智彦監督をはじめとする日本屈指のクリエイター陣の手により、幻想的でハートフルな世界観が余すところなく表現されています。

とりわけ、無数の祈りを受け止めてきたクスノキの描写が素晴らしく、悠然とそびえ立つ姿からは神々しさが伝わってくるほど。大きなスクリーンに映し出されると、クスノキが静かに放つ癒しの波動を受け取る人も多いのではないでしょうか。

小さな温もりに心洗われる感動作です。

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