公開から年月を経てもなお輝きを失わず、多くの観客を魅了する多彩なジャンルの映画がそろうNHKプレミアムシネマ。 1月8日(木)放送の『ブラック・レイン』は、リドリー・スコットが大阪の夜に刻み込んだ、異国捜査の緊迫感とスタイリッシュさが見もの。マイケル・ダグラス&アンディ・ガルシアに加え、高倉健と松田優作が並び立つ日米スター共演は圧巻だ。大規模ロケの“現場の熱”が画面から滲む一方で、松田優作にとって遺作となった背景も胸に迫る。第2回。(文・阿部早苗)
NHK BS 1月8日(木)午後1:00~
監督:リドリー・スコット
キャスト:マイケル・ダグラス、アンディ・ガルシア、ケイト・キャプショー、松田優作、高倉健、神山繁、若山富三郎、島木譲二、長原成樹、安岡力也、ガッツ石松、小野みゆき、國村隼
【作品内容】
汚職疑惑を抱えるNY市警のニック(マイケル・ダグラス)は、逮捕したヤクザの佐藤(松田優作)を護送するため来日するが、佐藤は空港で逃走。大阪府警の松本警部補(高倉健)と共に、捜査権限のない異国の地で、ニックらは文化の壁に衝突しながら佐藤を追う。
【注目ポイント】
『エイリアン』(1979)で世界的ヒットを飛ばしたリドリー・スコット監督が手がけたクライム・アクション映画『ブラック・レイン』(1989)。
NY市警のニックは、護送中に逃亡したヤクザの佐藤を追い、慣れない日本の地・大阪で捜査に乗り出す。
文化の壁や警察組織の制約に苛立ちながらも、現地の松本警部補と協力し、執念で佐藤を追跡。価値観の対立を乗り越えながら巨悪を追い詰めていく。
本作の魅力のひとつが日米の豪華キャストの共演だ。
ハリウッドを代表するマイケル・ダグラスとアンディ・ガルシアに加え、日本から高倉健と松田優作が参加したことは大きな話題を呼び、日本でもヒットを記録した。
撮影の大半は大阪での大規模ロケによって行われたが、その道のりは決して平坦ではなかった。
直前で撮影許可が取り消され、街中での撮影に府警からクレームが入るなど数々の制約に制作陣は翻弄され、スコット監督自身が疲弊する場面もあったという。
こうしたトラブルにまつわる噂がハリウッドで広まり、その後約28年間にわたって大作映画の大阪ロケが行われなくなる一因になったとも言われている。
一方で日本初のフィルム・コミッション誕生のきっかけにもなった。
ネオンが煌めく道頓堀の夜景や大阪の街並みを背景にした追跡劇は、異国に踏み込んだ刑事ものならではの緊迫感とスタイリッシュさを放つ。
松田優作によるスタントなしのアクションや、高倉健の圧倒的な存在感も見逃せない。
松田優作は出演が決まった時点で、すでに膀胱がんと診断されていたという。それでも長年の夢を叶えるため撮影に臨んだ。ハリウッド進出作でありながら遺作となった作品である。