近ごろSNSで「この動画ってAI?」という議論が交わされているのを、よく目にする。誰もが簡単にAI動画を作れるようになった分、その“進化の功罪”が浮き彫りとなってきた。今回は中でも注目を集めている動画生成AI「Sora」について考える。(NNNニューヨーク支局 櫻茜理)【画像】「AI兵器」で変わる世界 抑止力として必要? 戦争誘発の危険性は?
SNSで“犬が赤ちゃんを危険から守るショート動画”を何本も見かけた。勇敢で忠実な犬の姿に感動しながら視聴していたが、いくつかの投稿に「#AI動画」と記載されていて、衝撃を受けた。
確証はないが、他に見ていた動画のいくつかもAIで作られたものだったのかもしれない…。いずれの動画もこのような記載が無ければ、数秒と短い再生時間だったこともあり、何の違和感も抱かなかった。AI動画はすっかり身近な存在だ。
特に最近は、「チャットGPT」を手掛ける、アメリカのオープンAIの動画生成AI「Sora」が話題だ。2025年9月末にリリースされた「Sora2」では、“動画の内容”を言葉で指示するだけで音声も自動で生成され、誰でも簡単にリアルなAI動画を作ることができる。さらに、ユーザー自身を動画の中に登場させる「カメオ機能」も搭載されている。
筆者も実際に「カメオ機能」を使って動画を作ってみたが、表情も声も自分にそっくりで驚いた。ただ、細かく動画の内容を指示しても「なんだか違う」仕上がりとなることが多かった。自分の意図するものを正確に作るには、まだ万能ではないようだ。
一方で、これだけ容易に動画が作れるからこそ、ディープフェイクが拡散する懸念もある。そのリスクを感じる出来事が起こった。
ある日、Soraの自分のアカウントに「見覚えのない新しい動画」が保存されていた。プロンプトには日本語で「高速カーチェイスの末に(筆者が)逮捕された80年代テレビニュース映像」と書かれていた。
10秒にわたる動画は1つの“ニュース映像”となっていて、キャスターがスタジオから「危険なカーチェイスは、女の逮捕で終結した」と伝える場面から始まる。映像はライブに切り替わり、パトカーに囲まれた車から筆者が出てきて、警察に捕まる様子が映される――。