〈被害額は31億円以上、外食チェーン大手の会長がダマされた“M資金詐欺”驚きの手口「丸の内の会議室に『先生』と呼ばれる老人が現れて…」《2017年の事件》〉 から続く【写真】この記事の写真を見る(5枚)一般には知られていない莫大な秘密資金の存在を匂わせ、投資を迫る――。そんな手口で数々の経営者や資産家から金を巻き上げてきた「M資金詐欺」。
元を辿れば「M資金」とは、終戦後に広まった「GHQが日本から接収した資産を隠している」という噂から始まった言葉だ。そんな荒唐無稽な話を、名のある権力者たちがどうして次々に信じてしまったのだろうか。
ここでは 『ペテンに踊る M資金の魔力に憑かれた経営者たち』 (宝島社)より一部を加筆して紹介する。1969年、全日本空輸(現在のANAホールディングス)社長の大庭哲夫氏を狙ったM資金詐欺の手口とは……。(全3回の2回目/ 続きを読む )
※本文中は書籍転載のため敬称略
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ここにずいぶんと古い資料がある。
「M資金対象者名簿」
「M資金関係事案別チャート綴」
それぞれにはそんな表題がつけられており、ともに手書き原稿を複写したと見られる作りだ。60ページにわたる前者には関係者約900人分の氏名、生年月日、住所、本籍、関連事案、犯歴などが記され、35ページある後者には、グループの系統図や「故俳優田宮二郎関係」から「東京相互BK(偽造通知預金証書)関係」に至るまで24件の個別事案について、人物名や関与の詳細などがチャート図にまとめられている。記載内容から判断するに、1981年の終わり頃に作成されたもののようだ。
その体裁からして違和感がないのだが、これら「M資金」を巡る資料は捜査機関が作成したものとされる。それがどういう経緯か、とあるブラック系の経済ジャーナリストが手にするところとなり、やがて1990年代半ば頃に過剰債務のくびきから逃れたいあまり、会長が巨額資金話にのめり込んでいた大手企業の広報室長へと持ち込まれ、そして今現在、それが目の前にあるといった具合だ。