なぜディーン・フジオカの”桜介”はここまでハマったのか? ドラマ『ちょっとだけエスパー』を支えた芝居の説得力を徹底解説

大泉洋主演ドラマ『ちょっとだけエスパー』(テレビ朝日系)。本作は、会社をクビになったサラリーマンが、“ちょっとだけエスパー”になって世界を救う…かもしれない、ジャパニーズ・ヒーロードラマだ。今回は、本作の構造的な面白さを、花屋の店主・桜介を演じるディーン・フジオカの演技から読み解いていく。(文・加賀谷健)【写真】ディーン・フジオカの”桜介”がかっこよすぎる…ドラマ『ちょっとだけエスパー』第8話劇中カット一覧
大泉洋主演ドラマ『ちょっとだけエスパー』(テレビ朝日系、2025)。初めて見たとき「何だかよくわからないドラマだな」と思った。

 第1話冒頭、横領の罪を問われて会社を追われ、逮捕と離婚を経験した中年男・文太(大泉洋)が、VRゴーグルを装着して投身自殺を擬似体験する。人生のどん底にいることは確かだが、それでも就職活動は一応しているらしい。

「NONAMARE」という会社の面接案内がくる。文太は「大した会社じゃねぇなぁ」とぶつぶつ評価を下しながらもその会社の集団面接を受けにいく。

 面接者の中で最年長の文太は大志を抱く若者たちのアピールポイントを鼻で笑う。

 そして社会人経験豊富な強みをべらべら主張する。すると、一際スマートな雰囲気の面接官が「どうして無職なんでしょ」と痛いところをついてくる。

 これは明らかに不採用だなとエントランスで落胆していると実は社長だった面接官の男・兆(岡田将生)が隣に座り、合格だから最終面接にきてくれと言う。

 どうしてしがない中年男にそれなりの企業の社長が直接言いにくるのか。ここまででもよくわからない。

 結果、最終面接で怪しい錠剤を飲まされた文太は「たった今からあなたはエスパーです」と言われ(ちょっとだけ)エスパーになる。もはや謎と謎が串団子状態…。でもなぜだか面白い。

 野木亜紀子によるSF脚本の不思議な仕掛けが錠剤の効能と同じように、無理筋の中でさえ早くも効力を発揮しているのか。実際のところ(第1話時点では)それもよくわからないのだが、どうやら本筋はそこではないらしいことがすぐにわかる。

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