原材料やエネルギー、物流などサプライチェーン(供給網)のあらゆるコストが上昇し、飲料販売の主戦場となる中型ペットボトル(500~600ミリ・リットル)の希望小売価格は「200円時代」を迎えた。消費者の節約志向も相まって、飲料メーカーの「ドル箱」だった自動販売機での販売には強い逆風が吹く。飲料各社はライバル同士が手を組み、デジタル技術も活用した効率化を急ぐ。(北野浩暉)
「コカ・コーラ」や「お~いお茶」「伊右衛門」「三ツ矢サイダー」「午後の紅茶ストレートティー」……。飲料各社は10月出荷分から、主要商品(500~600ミリ・リットル)の希望小売価格(税別)を1~2割値上げし、200円台に入った。背景には、企業努力だけでは吸収が難しい深刻なコスト上昇がある。
砂糖や茶葉、コーヒー豆といった国際的に取引される商品価格や原油価格上昇によるペットボトル製造コストは高止まりし、円安による輸入コスト増に加え、最低賃金引き上げなどで人件費の上昇も続いている。リサイクル素材への切り替えといった投資負担もある。メーカーは、顧客離れのリスクは承知の上で、それでも価格転嫁せざるを得ない状況に追い込まれている。
また、飲料は同じ商品の値段が販路によって大きく異なる「一物多価」の典型だ。自動販売機では原料が違うコーヒーや緑茶、炭酸飲料などが一律の定価で売られ、同じものがスーパーなどでは100円程度、コンビニでは景品付きで150円程度で並ぶことも多い。
品目ごとのシェア争いが激しく、価格の実質的な決定権を小売店などの流通サイドが握っているためで、店頭では小売業者が強みを生かして飲料を「ロスリーダー」と呼ばれる目玉商品として提供し顧客を誘い込む。
店側は値引き分を負担してでも、より高い生鮮食品や日用品を購入してもらい、全体で利益を確保する戦略だ。大手業者はさらに、飲料メーカーより安い価格となるプライベートブランド製品も投入し、消費者の新たな受け皿も用意する。