玉東町発注工事を巡り、熊本県警から2022年に官製談合防止法違反容疑で任意同行され、繰り返し聴取を受けた同町の男性職員が、令状に基づかない「実質的な逮捕」に当たり違法な捜査だとして県に220万円の損害賠償を求める訴訟を熊本地裁に起こしたことが21日、関係者への取材で分かった。
関係者によると、22年11月5日朝、捜査員2人が男性宅を訪問。男性は子どもの学校行事があると拒んだが、捜査員は「他の課長も(警察に)来てくれる」とうそを言い、熊本北合志署に任意同行した。男性は12月28日まで13回計約60時間、署で任意聴取され、自宅の捜索を受けた。
捜査員は取り調べで、男性にスマートフォンのロック解除を強要したり、事実と異なる内容が書かれた供述調書の訂正に応じなかったりしたという。男性側は一連の捜査について「任意捜査の限界を超え、違法だ」と主張している。
県警は23年2月に捜査の終了を男性に伝えた後、刑事訴訟法が定める検察庁への送致手続きを取っていなかったという。
男性は熊本日日新聞の取材に「家族が味わった恐怖は計り知れない。事件として送致できない程度の疑いで、人生をここまで壊していいはずがない。司法の場で答えを求めたい」と話している。
県警監察課は「訴状の内容を精査しており、コメントは差し控える」としている。
6月定例町議会での町側の答弁によると、県警が捜査していたのは、町が20年度と22年度にそれぞれ実施したJR木葉駅前の高層賃貸マンション建設と町役場庁舎建設の事業者選定。町職員6人が任意で事情を聴かれたとしている。(植木泰士)