赤ちゃんを救う犬や、クマに餌をやる女性、逮捕の瞬間を捉えたボディカメラ映像――OpenAIの動画生成アプリ「Sora2」が9月にリリースされてから、本物そっくりのAI動画がSNSにあふれるようになっている。【動画】本物か偽物か見分けがつく?Soraで作られたAI動画それはつまり、バズっている動画が本物かどうかを疑わなければならなくなったということでもある。
誰もが簡単にAI動画が作れるようになるのは魅力的なことだが、Soraはどのような問題をはらんでいるのだろうか。
Soraは短い文章の指示で動画を生成できるAIだ。これまでにないほど簡単に、動画で“偽りの現実”を作り出すことができる。
現在は招待制だが、アプリはダウンロードランキング上位にあり、影響力の大きさを感じられる。
AI動画は珍しくなくなったが、Soraのウォーターマーク(透かし)が入り動画に対しても、「これは本物?」というコメントが書き込まれるようになっている。
例えば、TikTokに投稿されている「クマに肉を与える女性」の動画には、「もう何がAIなのかすらわからなくなってる」というコメントが寄せられている。
誰もがAIを手軽に使えるようになったことで、私たちは「オンライン上の情報を信じていいのかわからない」という問題を抱えるようになった。
ピュー・リサーチ・センターが10月に発表した調査では、チャットボットを利用してニュース情報を得た人の約3分の1が「真実かそうでないかを判断するのが難しい」と答えた。
Soraのように無料で簡単に動画を作れるAIの登場は、この問題を悪化させるかもしれない。
ニューヨーク大学ソーシャルメディア・政治センターのソロモン・メッシング准教授は「Soraは、良くも悪くも“オヴァートンの窓”を動かしています。つまり、動画に映っているものは真実という認識が急速に失われつつあります」と語る。
AI動画を見抜く専門家として知られるテクニカルプロデューサー&ディレクターのジェレミー・カラスコ氏の元には、Sora2で作られた動画に関する質問が多数寄せられているという。
「半年前であれば、(SNSの)フィードにAI動画が多く流れてくるようなことはなかったと思いますが、今では1時間に10本、スクロールする頻度によっては1分に1本は目にするのではないでしょうか」と話す。
カラスコ氏は、Googleの動画生成AI「Veo 3」と違い、Soraの全機能が無料で使えることが、AI動画が主流になりつつある要因だと考えている。
「必要なのは招待コードだけ。AI動画生成にお金は必要なくなりました」
カラスコ氏は、Soraのウォーターマークを消すことも可能だと指摘する。