10月21日、高市早苗氏が第104代内閣総理大臣に選出された。日本初の女性首相であり、その歴史的意義は大きい。このニュースは多くの海外メディアでも報じられ、世界の注目を集めている。
高市政権は、自民党と日本維新の会による連立政権である。関西出身の政治家が日本の政権を主導するのは稀であり、私はそれが現在の日本社会の姿を象徴していると考える。本稿では、その背景と意味を考察したい。
マスコミは「東京一極集中」や「地方の衰退」を繰り返し強調するが、必ずしもそうとは言えない。近年、さまざまな分野で東京勢は関西勢の後塵を拝している。
たとえば、今年ノーベル賞を受賞した坂口志文氏と北川進氏はいずれも関西出身で、京都大学で学んだ研究者である。坂口氏は大阪大学特任教授、北川氏は京都大学特別教授として受賞した。
過去10年間に自然科学分野でノーベル賞を受賞した日本人6人のうち、4人が京都大学、2人が東京大学の卒業生だが、出身地はいずれも西日本である。内訳は関西4人、九州と四国が各1人。関東出身者はいない。
これまでに日本出身者および被団協(日本原水爆被害者団体協議会)を含め31件のノーベル賞の受賞があるが、出身高校の所在地でみると、関西が10人と最も多く、中部7人、中四国5人、関東4人、九州3人と続く。学問の世界における「西高東低」の傾向は、今に始まったことではない。
経済界も状況は変わらない。2019年4月27日付日本経済新聞によれば、平成の30年間で時価総額を大きく伸ばした企業は、トヨタ自動車(15.2兆円増)、キーエンス(8.3兆円増)、日本電産(4.6兆円増)、ソニー(4.6兆円増)、任天堂(4.3兆円増)、武田薬品工業(4.1兆円増)などである。上位10社のうち、関西に本拠を置く企業が6社を占め、関東勢はソニーなど3社のみであった。
一方、時価総額を減らしたのはNTT(20.3兆円減)、東京電力HD(8.6兆円減)、野村HD(5.9兆円減)、日本製鉄(4.2兆円減)、新生銀行(4.1兆円減)など、多くが国策色の強い企業である。上位10社のうち5社は東京で生まれ、現在も東京を拠点としている。平成期を通じて時価総額を伸ばした企業群に比べ、グローバル化への対応が遅れたことが明暗を分けたといえよう。
スポーツの世界でも、この傾向は顕著である。“The Sporting News”が発表した「MLB歴代日本人選手ベスト10」では、10人のうち5人が関西出身で、関東は岩隈久志氏ただ一人だった。